十一面観世音菩薩

十一面観世音菩薩とか「十一面観音様」というより、十一面さん、または短く「観音さま・・・」と言いたくなるほど身近で親しみのある呼び名です。
観音様は私達の呼びかけるその声を聴いて応じていただける菩薩様ですから、「観音さま・・・」と口に唱えたとたん、もう安心出来るのです。

時代的には観音様の最初のお姿は「聖観音」で、観音信仰の広がりの中で偉大な慈悲と救済の霊力をもって変化身として人々の前に出現されたのが、「十一面観世音菩薩」でした。
国家鎮護の法要の主役となり、また罪過を懺悔する法会は除災、治病、招福に応えてくれると信じられたのです。

人々はインド、中国、日本と観音信仰の伝播とともに「十一面観世音菩薩」の不可思議な霊力、限りのない慈悲救済のお力にお縋りしてきたのです。

因みに十一面観音様は修羅の世界の住人を救っていただけると言われます。 修羅の世界とは嫉妬、猜疑から起こる争い、激しい怒りや情念の争いの絶えないことのたとえですから、この苦しみの現実から救いだしてくださると女性に人気があるのでしょうか…。

『般若心経』では観自在菩薩と冒頭に出てきます。十一面観音様も観世音菩薩の中のお一人です。
昔の偉大な禅師は観自在菩薩を「観れば自らに在る菩薩」と訓みました。 気が付けば自分の内に観自在菩薩とかわらぬ心が在った……と目覚めるのです。

by 『般若心経』雑感 2012/7/3(火) ブログ掲載