仏教用語 かんたん解説(2)

回向(えこう)
自己の善行の結果である功徳を他に廻らし向ける(略)『岩波仏教辞典』
――実体が伴わないことで内容が空虚となった徳目――

火宅(かたく)
煩悩が盛んで不安なこの世を、火につつまれている家にたとえた語。迷いの多いこの世。
現世。 旺文社『全訳古語辞典』(第三版)
――現実世界の自己。燃えているのは? ――

果報(かほう)
過去の行為を原因として、現在に結果として受ける報い。 『岩波仏教辞典』
――願う前に善因を成すべし――

功徳(くどく)
善根を修することにより、その人に備わった徳性をいう(略)自ら積んだ功徳を他の人々にふりむけること(回向)が要請される。『岩波仏教辞典』
――善因がなければ顕れのない徳目、陰徳を積みましょう――

修羅道(しゅらどう)
生死を繰り返す「六道」の一つ。嫉妬、猜疑から起こる激しい怒りや情念の争いが絶えない境界、常に争いを繰り返す世界をいう。
――六観音の菩薩、十一面観音様が救ってくれる世界――

諸行無常(しょぎょうむじょう)
この現実の世界のあらゆる事物は、種々の直接的・間接的原因や条件によってつくりだされたもので、絶えず変化し続け、決して永遠のものではないということ。
『ブリタニカ国際大百科事典』
――「祇園精舎の鐘のこえ、云々…」は有名ですが、問題の本質は私たち自身のこと――

彼岸(ひがん)
煩悩の激流ないし海の(此岸)から、修行によってそれを渡り切った向こう岸、つまり輪廻を越えた涅槃の境地のこと。(略)『岩波仏教辞典』
――気付きがあると、向こう岸(彼岸)が足元に完成される――

布施(ふせ)
信者が僧に財物を施すのを財施、僧が信者に教えを説くのを法施、仏・菩薩が世の人の怖畏(ふい)を取り除く事を無畏施という。六波羅蜜の一つ。『百科事典・マイペディア』
――執着を離れて「布施」となる。よって喜捨であり浄財とも云う――

煩悩(ぼんのう)
心身を悩まし、乱し、煩わせ、惑わし、汚す心の作用をいう。人間の苦の原因とされる。煩悩の根源は貧(とん)・瞋(しん)・痴(三惑)で、慢・疑・悪見の三つを加え、根本煩悩ともいう。           『百科事典・マイペディア』
――その時その場、拘らずに正直に生きましょう――

六道(ろくどう)
衆生が自ら作った業によって生死を繰り返す六つの世界、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六つ。(略)『岩波仏教辞典』
―― その刹那の心によって、輪廻する私たちの境界――

六波羅蜜(ろくはらみつ=ろっぱらみつ)
悟りの彼岸(ひがん)に至るための六つの修行徳目。六度とも。布施(完全な恵み、施し)、持戒(戒律を守り、自己反省する)、忍辱(完全な忍耐)、精進(努力の実践)、禅定(心作用の完全な統一)、智慧(真実の智慧を開眼し、命そのものを把握する)の六つ。
『百科事典・マイペディア』
―― 実践によるしか、功徳の現れない徳目――

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小冊子『苦しみを生きる・般若心経のおはなし』Vol.2 より転載
(追加コメントは和尚の独断的解釈です。あらかじめお断りしておきます)